クラブの概要

  日本エッセイスト・クラブは、戦後まもない昭和26年6月9日、当時の評論家、エッセイストなどが集まって設立されました。事務局は日本ペンクラブ内に設けられ、名誉会員5名、会員は85名、計90名で発足しました。昭和27年3月1日に発行された会報第1号に馬場恒吾会長が次のような設立趣意書を掲載しています。

 

設立趣意書 (昭和26年6月9日)

 各界の文化人が、各々団結して、対内的にも国際的にも活発な動きを見せている今日、わが国においては独り評論家が団結されていないのは種々な意味で、誠に遺憾なことであります。講和会議も締結され、独立第一歩を踏み出した現今、国民の正しい世論を喚起することが、何よりも大切であります。その第一線にある我々が、自己を自覚して言論の自由と権威を主張するとともに、相互の責任においては対内的対外的諸問題を考察する事は勿論、進んで国際社会と連携を持ち、民主世界に参加して行くべき責任と義務を痛感する次第であります。この趣旨によりこのたび我々の団体、日本エッセイスト・クラブを結成いたしました。

            日本エッセイスト・クラブ 会長 馬場  恒吾

日本エッセイスト・クラブ 役員名簿
                       (2024年4月5日現在)

名誉会長   村尾清一

会  長   大村  智

理事長   堀尾眞紀子

専務理事   (空席)

常務理事   秋山秀一、 内藤啓子、中丸美繪、桃井恒和、安嶋明

理  事  上野誠、梅津時比古、海老沢小百合、佐々木健一、戸田桂太、

      並木きょう子、畠山重篤、原田國男、藤原作弥、松田宣子        

監  事     今野耕作、杉田定大

事務局長 (兼)海老沢小百合

名誉会員 (空席)

総会員数 268名 

特別会員  46名  
正会員    208名
法人会員 12社(順不同) 14名
      朝日新聞社 毎日新聞社 読売新聞社 
      産業経済新聞社 中日新聞社 共同通信社 
      日本経済新聞社 日本放送協会 TBSテレビ 
      岩波書店 講談社 集英社 
       


日本エッセイスト・クラブの沿革

 日本エッセイスト・クラブは、1951年(昭和26年)6月に設立されました。その年秋の講話条約調印、翌年の独立回復をひかえ、新生日本への道をようやく歩みはじめた時代です。
 当時のジャーナリズムの第一線で活躍する著名な評論家、エッセイストら90人が参加しました。会長に馬場恒吾、理事長に阿部慎之助を選出したほか、理事には大宅壮一、小汀利得、河盛好蔵、中山伊知郎、笠信太郎らが名を連ねました。

 その伝統を引き継いで、設立から60数年の歴史を積み増した。エッセイを随想、評論、ノンフィクションなどと幅広く捉えて、会員はジャーナリスト、評論家、研究者など多岐にわたります。2011年には一般社団法人に衣替え、新たに定款(規約)を定めておりますが、目的や運営方法などの骨格は従来の趣旨を踏襲しています。
 活字文化衰退が危惧されている今、当クラブの存在意義は極めて高いものと自負しており、なお一層の社会貢献をめざしています。(敬称略)

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辰野隆が名付け親

クラブ設立にあたって。名称を「評論家協会」「随筆家クラブ」などとする案もでたようですが、「エッセイスト・クラブ」の名を提案したのは仏文学者辰野隆でした。それではエッセイとは何かと、実はクラブ発足後もだいぶ議論になったようです。翌年創設されたクラブ賞の提案者は大宅壮一でした。「長い人生経験に基づいて、いきり立つ事なく、落ち着いてゆっくりした気持ちでなければ書けない」と、大宅はエッセイの一面を記しています。

参考
発足時の 日本エッセイスト・クラブ 役員名簿(昭和26年)

会   長    馬場恒吾
理 事 長    阿部眞之助
専 務 理 事    三宅晴輝
理   事
        青野季吉、阿部静枝、井上縫三郎、大宅壮一、
        小汀利得、唐島基智三、河盛好蔵、近藤操、
        佐藤垢石、坂西志保、高田保、中山伊知郎、
        中谷宇吉郎、福原麟太郎、古垣鉄郎、松尾邦之助、
        森正蔵、山本実彦、笠信太郎
顧   問
        大内兵衛、辰野隆、長谷川如是閑、森戸辰男
監   事    
        佐々木茂索、松方三郎
事務局長    宮城音彌
名 誉 会 員
        加藤元一、島中鵬二、野間省一、増田義彦、綿野修三

※ 歴代会長名 馬場恒吾 阿部眞之助 千葉雄次郎 殿木圭一 村尾清一


規約全文

一般社団法人日本エッセイスト・クラブ定款

第1章 総則
(名称)
第1条 この法人は、一般社団法人日本エッセイスト・クラブと称する。
(主たる事務所)
第2条 この法人は、主たる事務所を東京都港区に置く。
(目的)
第3条 当法人は、エッセイストの親睦をはかり、共通の利益を擁護し、言論の自由を主張し、文化と平和に貢献することを目的とし、国際文化団体との連携を期する。
(事業)
第4条当法人は前条の目的を達するために下記の事業を行う。
  1.会員の相互協力
  2.国際文化交流
  3.研究調査の発表並びに講演、見学
  4.会員相互の親睦と相互扶助
  5.クラブ賞の選定、その他必要な一切の事業
(公告)
第5条 当法人の公告は、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。

第2章 会員
(種別)
第6条 当法人の会員は、次の5種とし、正会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)上の社員とする。
 (1)正会員 当法人の目的に賛同して入会した個人
 (2)法人会員 当法人の目的に賛同して入会した法人
 (3)賛助会員 当法人の事業を賛助するため入会した個人又は団体
 (4)名誉会員 当法人に特に功労があり、理事会で推薦され、会員総会で承認された者
 (5)特別会員 当法人の正会員として20年以上継続した者又は当法人が主催するクラブ賞を受賞した者が満85歳になったとき
(入会)
第7条 正会員として入会しようとする者は、正会員2名以上の推薦を得、申込書に会費を添えて理事会の承認を受けなければならない。法人会員、賛助会員は理事会が推薦する。
(会費)
第8条 会員は、当法人会費規定において別に定める会費を納入しなければならない。
(任意退会)
第9条 会員は、理事会に退会届を提出することにより、任意にいつでも退会することができる。
(除名)
第10条 会員が次のいずれかに該当するに至ったときは、会員総会の決議によって当該会員を除名することができる。
 (1)この定款その他の規則に違反したとき。
 (2)当法人の名誉を傷つけ、又は目的に反する行為をしたとき。
 (3)その他の除名すべき正当な事由があるとき。
(会員資格の喪失)第11条 前2条の場合のほか、会員は、次のいずれかに該当するに至ったときは、その資格を喪失する。
 (1)会費の納入が年度を越えて滞納し、当法人からの督促に応じなかったとき
 (2)総正会員が同意したとき
 (3)当該会員が死亡し、又は解散したとき
(会員資格喪失に伴う権利及び義務)
第12条 会員が前3条の規定によりその資格を喪失したときは、当法人に対する会員としての権利を失い、義務を免れる。正会員については、一般法人法上の会員としての地位を失う。ただし、未履行の義務は、これを免れることはできない。
 2  当法人は、会員がその資格を喪失しても、既納の会費及びその他の拠出金品は、これを返還しない。

第3章 会員総会
(構成)
第13条 会員総会は、すべての正会員をもって構成する。
  2 前項の会員総会をもって一般法人法上の社員総会とする。
(会員総会)
第14条 当法人の会員総会は、定時会員総会及び臨時会員総会とし、定時会員総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に開催し、臨時会員総会は必要に応じて開催する。全会員の5分の1以上が書面により請求したとき、または理事会が会議の目的事項を示して請求したときは、会長は臨時総会を招集しなければならない。
(招集)
第15条 会員総会の招集は、理事会がこれを決し、会長が招集する。
 2  会員総会の招集通知は、会日より1週間前までに各会員に対して発する。
(決議の方法)
第16条 会員総会の決議は、法令に別段の定めがある場合を除き、総会員の議決権の過半数を有する会員が出席し、出席会員の議決権の過半数をもってこれを行う。
 2  前項の規定にかかわらず、次の決議は総会員の半数以上が出席し、総会員の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行う。
 (1)会員の除名
 (2)監事の解任
 (3)定款の変更
 (4)解散
 (5)その他法令で定められた事項
(議決権)
第17条 各会員は、各1個の議決権を有する。
(議長)
第18条 会員総会の議長は、会長がこれに当たる。会長に事故があるときは、当該会員総会で議長を選出する。
(議事録)
第19条 会員総会の議事については、法令の定めるところにより議事録を作成し、会員総会の日から10年間主たる事務所に備え置く。

第4章 役員等
(員数)
第20条 当法人に次の役員を置く。
 (1)理事 15名以上25名以内
 (2)監事 2名以上
 2  理事のうち、会長1名、理事長1名、専務理事1名、常務理事若干名、事務局長1名を推薦して理事会の決議によって、理事の中から定める。
 3  会長及び理事長は、当法人を代表し、一般法人法上の代表理事とする。
(選任等)
第21条 理事及び監事は、会員総会の決議によって会員の中から選任する。ただし、必要があるときは、会員以外の者から選任することを妨げない。
(任期)
第22条 理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時会員総会の終結の時までとする。ただし、再任を妨げない。
 2  補欠により選任された理事の任期は、前任者の残存期間と同一とする。
 3  監事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時会員総会の終結の時までとする。ただし、再任を妨げない。
 4  補欠により選任された監事の任期は、前任者の残存期間と同一とする。
 5  理事及び監事は、辞任又は任期満了後において、定員を欠くに至った場合には、新たに選任された者が就任するまでは、その職務を行う権利義務を有する。
(理事の職務権限)
第23条 会長及び理事長は、当法人を代表し、その業務を執行する。
 2  専務理事は、会長、理事長の事故ある時はこれを代行し職務を執る。常務理事は事業に関する事項を担当する。事務局長は業務を執行する。監事は会計監査の責に任ずる。会長は、必要に応じて顧問等を委嘱することができる。
 3  常務理事は、当法人の業務を分担執行する。
 4  会長、理事長、専務理事、常務理事は、毎事業年度毎に4か月超える間隔で2回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
(監事の職務権限)
第24条 監事は、理事の職務の執行を監査し、法令で定めるところにより、監査報告を作成する。
 2  監事は、いつでも、理事等に対して事業の報告を求め、当法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
(取引の制限)
第25条 理事が次に掲げる取引をしようとする場合には、理事会において、その取引について重要な事実を開示し、理事会の承認を受けなければならない。     
 (1)自己又は第三者のためにする当法人の事業の部類に属する取引
 (2)自己又は第三者のためにする当法人との取引
 (3)当法人がその理事の債務を保証することその他理事以外の者との間における当法人とその理事との利益が取引
(責任の一部免除等)
第26条 当法人は、一般法人法第111条第1項の賠償責任について、法令に定める要件に該当する場合には、理事会の決議によって、賠償責任額から法令に定める最低責任限度額を控除して得た額を限度として、免除することができる。

第5章 理事会
(構成)
第27条 この法人に理事会を置く。
 2  理事会は、すべての理事をもって構成する。
(権限)
第28条 理事会は、次の職務を行う。
 (1)当法人の業務執行の決定
 (2)理事の職務の執行の監督
 (3)会長、理事長、専務理事及び常務理事の選定及び解職
(招集)
第29条 理事会は、会長が招集する。
 2  会長が欠けたとき又は会長に事故があるときは、理事長が理事会を招集する。
(決議)
第30条 理事会の決議は、決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
 2  前項の規定にかかわらず、一般法人法第96条の要件を満たしたときは、理事会の決議があったものとみなす。
(議事録)
第31条 理事会の議事については、法令で定めるところにより議事録を作成する。
 2  出席した会長、理事長及び監事は、前項の議事録に記名押印する。
(理事会規則)
第32条 理事会に関する事項は、法令又はこの定款に定めるもののほか、理事会において定める理事会規則による。

第6章 計算
(事業年度)
第33条 この法人の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。
(事業計画及び収支予算)
第34条 当法人の事業計画及び収支予算については、毎事業年度開始日の前日までに会長が作成し、理事会の承認を経て会員総会の承認を受けなければならない。これを変更する場合も同様とする。
 2  前項の規定にかかわらず、やむを得ない理由により予算が成立しないときは、会長は、会員総会の決議に基づき、予算成立の日まで前年度の予算に準じ収入を得又は支出することができる。
 3  前項の収入支出は、新たに成立した予算の収入支出とみなす。
(事業報告及び決算)
第35条 当法人の事業報告及び決算については、毎事業年度終了後、会長が次の書類を作成し、監事の監査を受け、第1号、第3号及び第4号の書類については、理事会の承認を経て、定時会員総会に報告しなければならない。
 (1)事業報告
 (2)事業報告の附属明細書
 (3)貸借対照表
 (4)損益計算書(正味財産増減計算書)
 (5)貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)の附属明細書
 2  前項第3号及び第4号の書類については、定時会員総会への報告に代えて、定時会員総会の承認を受けなければならない。
 3  第1項の書類のほか、次の書類を主たる事務所に5年間備え置くとともに、定款及び会員名簿を主たる事務所に備え置くものとする。
 (1)監査報告
(剰余金の分配)
第36条 当法人は、剰余金の分配は行わない。

第7章 清算
(残余財産の帰属等)
第37条 当法人が清算をする場合において有する残余財産は、会員総会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
 2  当法人は、残余財産の分配を行わない。

第8章 附則
(最初の事業年度)
第38条 当法人の最初の事業年度は、当法人の成立の日から平成25年3月31日までとする。
(設立時の役員)
第39条 (略)
(設立時社員の氏名又は名称及び住所)
第40条 (略)
(任意団体日本エッセイスト・クラブの承継)
第41条 従来の任意団体日本エッセイスト・クラブの正会員、法人会員、賛助会員、名誉会員、特別会員は、当法人設立の日をもって、当法人に入会の申し込みがあったものとみなされ、それぞれの地位を承継取得する。会費は、従前の団体に納めた会費をもって充当する。ただし、平成24年3月31日までに、当法人の会員にならない旨の意思表示をしたものを除く。
 2  任意団体日本エッセイスト・クラブの平成24年3月31日時点の資産および負債はすべて承継する。
(施行細則の制定)
第42条 本定款に基づく運用に際し、細部の規定については当法人設立後に開催される理事会の決議をもって定める定款施行細則に従うものとする。当施行細則の変更・改訂は理事会の決議を必要とする。(法令の準拠)
第43条 本定款に定めのない事項は、すべて一般法人法その他の法令に伴う。
    (以下略)